2022年12月15日

ネクタイ

去年の夏からDuolingo(https://www.duolingo.com)でギリシャ語の勉強を始めましたが(過去の記事「にんじん」)、ほとんど何も覚えられません。

「こんにちは」(Γεια σου.)はYouTubeのピューマのメッシ(https://www.youtube.com/@Iampuma)の毎週日曜日の生放送の冒頭で、サーシャがいろんな国の言葉で「こんにちは」を言う時に、ギリシャ語でも言っているので覚えました。サーシャは日本語の「こんにちは」も毎回言ってくれます。

「ありがとう」(Ευχαριστώ.)はロシア語の「евхаристия(聖餐)」に似ているので覚えました。英語で「聖餐」は「Eucharist」、ポルトガル語では「eucaristia」。聖餐式とはありがとうの会なのだろうと思いました。

https://ja.wikipedia.org/wiki/聖餐

「にんにく」(σκόρδο)はまったく覚えられる気がしませんでしたが、『侠飯』という小説を読んでいたら、「(ニンニクの)主成分のスコルジニンは強壮と疲労回復に効果がある」というせりふがあったので覚えられました。






「おはよう」(Καλημέρα.)は「カリメロ」に似ているので覚えられました。「Calimero」はイタリアの男性の名前で、古代ギリシャ語から来ているものらしいです。

https://it.wikipedia.org/wiki/Calimero_(nome)

こんな感じで時々印象に残る単語はあるのですが、全体としてはなかなか覚えられないでいます。しかし、「ネクタイ」(γραβάτα)はすぐに覚えられました。なぜなら、ポルトガル語の「gravata」と同じだからです!

私が持っている電子辞書には「ブリタニカ国際大百科事典」というのが収録されているので、これの「ネクタイ」の項を見てみると、

(前略)ルイ14世に仕えるためにパリに来たクロアチアの軽騎兵隊の将校が首に巻いた色鮮やかなスカーフに始り,ここからフランス語クラバットcravate(ネクタイの意)の名が起こった。一般に普及したのは17世紀中期以後で、各種の変化を生んで19世紀なかばにほぼ現在の形式となった。


とあります。

「ネクタイ」は他の言語ではなんと言うのかをWikipediaで見てみると、イタリア語は「cravatta」、スペイン語は「corbata」、ルーマニア語は「cravată」、ドイツ語は「krawatte」といった感じ。なぜギリシャ語とポルトガル語では、頭の「K」の音が「G」に置き換えられたのだろう???

英語にも「cravat」という言葉があって、これもまた電子辞書内蔵の「オックスフォード現代英英辞典によると、

a short wide strip of silk, etc. worn by men around the neck, folded inside the COLLAR of a shirt


とあります。

cravat」という単語は見たことがないなあと思っていたのですが、Charles Dickens作『A Christmas Carol』の中にありました。





森田草平訳でその箇所がどのように訳されているのかを見てみます。





Thus secured against surprise, he took off his cravat; put on his dressing-gown and slippers, and his nightcap; and sat down before the fire to take his gruel.


こうして先ず不意打ちを喰う恐れをなくして置いて、彼は頸飾を外した。寝間着を着て上靴を穿いて、寝帽を被った。それから粥を啜ろうとして暖炉の前に坐った。


The scaling him with chairs for ladders to dive into his pockets, despoil him of brown-paper parcels, hold on tight by his cravat, hug him round his neck, pommel his back, and kick his legs in irrepressible affection!

それから椅子を梯子にして、その男の体躯に這い上りながら、その衣嚢(かくし)に手を突き込んだり、茶色の紙包みを引奪(ひったく)ったり、襟飾りに獅噛み着いたり、頸の周りに抱き着いたり、背中をぽんぽん叩いたり、抑え切れぬ愛情で足を蹴ったりが続く!


「頸飾」と「襟飾り」。なるほど……。

森田草平のこの訳は1926年のものだそうです。

私は文学にはあまり詳しくないので、Wikipediaでこの人のページを見てびっくり仰天しました。有名人は昔のことも記録に残されてさらされて気の毒です。いや、気の毒ではないな。この人、事の顛末を小説にして朝日新聞に連載したらしいから。小説にすることを奨めたという夏目漱石も、何だかなあ……。

https://ja.wikipedia.org/wiki/森田草平

ギリシャ語の話からだいぶそれてきたので、今回はこのへんで終わりにします。

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posted by ごー at 02:50| Comment(0) | ギリシャ語 | 更新情報をチェックする

2021年07月09日

にんじん

「いっぽんでもニンジン に! にそくでもサンダル」というあの歌は名曲だと思う。

悲しい気持ちの時でも、頭の中にあの歌を流すと、なんだか楽しくなってくる。

日本語の物の数え方も覚えられるし、あの歌を作った人はすごい!






A面の「およげたいやきくん」も途中までは楽しい歌ではあるのだけど、最後が悲しい。

最近、Duolingo(https://www.duolingo.com)でギリシャ語の勉強を始めた。なぜギリシャ語なのか、自分でもよくわからない。英語もロシア語もポルトガル語もエスペラントも、そして日本語でさえ満足に操れないのに、何をやっているのだ、私は……。

特に読みたい本があるわけでもない。外国語で読みたい本はムーミンなので、スウェーデン語を勉強した方がいいのだろうけど、今からスウェーデン語を覚えてムーミンが読めるようになれるとはとても思えない。

とにかく、なぜこの言語を選んだのかは自分でもよくわからないまま、少しずつギリシャ語を勉強している。Duolingoだけでどこまで理解できるようになるのか、実験でもしているつもりなのだろうか。

以前、フランス語を覚えたらロシア語の理解も深まるのかなと思って、千円くらいの入門書を買ってみたことがある。そして結局何も覚えられなかった。今はDuolingoでいろんな言語を勉強できるので、たいへんありがたいことである。

一つ驚いたことがあった。「にんじん」。これがギリシャ語では「καρότο」なのである。

ポルトガル語の「cenoura」やロシア語の「моркофь」とは全然違って、英語の「carrot」に近いというのはなんだか不思議だなあと思う。

電子辞書に入っているジーニアス英和大辞典で「carrot」を見てみると

初16c; ギリシア語 karōton

と書かれている。なるほど、ギリシャ語から来ているのか!

それから、ギリシャ語には英語でいうところの「th」の音がある。「th」の音を持つ言語は、あまり多くないらしい。

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ラベル:ギリシャ語
posted by ごー at 22:03| Comment(0) | ギリシャ語 | 更新情報をチェックする