今の子はどうだか知らないけど、私が中学生の頃は、ビートルズを聴いている子が多かったように思う(そして、星新一と太宰治を読んでいる子も多かったのではないか)。同級生にビートルズのLPを持っている子がいて、私は一枚ずつ借りて一通り聴いた。
中学生向けの英和辞書で歌詞の意味を調べようとしても、よくわからなかった。「I wanna hold you hand」が「抱きしめたい」になるのが、どうしてもわからなかった。
「walrus」という言葉を覚えたりした。
今では完璧にというわけではないけど、おおまかにはわかる。『Get Back』に出てくる「California grass」の意味もわかってしまった。中学生の頃にはわからなかった。
頭の中に『Get Back』を流しながら、私はどこに帰るのかな、帰れと言ってくれる人はいるのかな、なんて考えている。
何年か前に『A Cidade Onde Envelheço』という映画を見た。
ブラジルのベロオリゾンテに、フランシスカという名のポルトガル人の若い女性が住んでいる。そこへ、昔の友人であるテレーザがやってきて、一緒に暮らしはじめる。テレーザが新しい街になじんでいく一方で、フランシスカは「リスボンの海が見たい」と言いはじめ、徐々に病んでいく、といった内容だったと思う。
『私が老いていく街』。私はどこに帰るのか、どこで老いていくのか、なんてことを、考えても仕方のないことを、最近ぐるぐると考えている。

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