はて? 「атлас」って「地図帳」のことだよね?
ハンティングワールドとかプリマクラッセみたいな地図柄のことか? 19世紀のお話だから、地図柄のドレスを着た女の人ということだろうか?
念のために辞書を見てみたら、
「атлас」が「地図帳」で、
「атлас」は「繻子、サテン」だそうです。
アクセントの位置が違うだけで、全然違う意味になっています。
つまりこの女の人が着ていたのは地図柄ではなく、サテンのドレスだったのです。
「地図柄のドレスを着た女性」は「женщина в платье с изображением карты」みたいな感じになるかな? でもこれでは、地図なのかカード(トランプとかタロットとか)なのかがわからないから、必要に応じて形容詞を付け足せばいいのでしょうか?
「地図帳」の「атлас」の語源は……
地図帳の表紙にはギリシャ神話の神であるアトラスが描かれることが多かったのだそうです。
しかし、地図学者のメルカトルの死の翌年、1595年に出版された彼の地図帳の表紙に描かれているのは、伝説上の人物、マウレタニア王アトラス。そしてこの地図帳の名前は「アトラス」。この「アトラス」がのちに「地図帳」を表す名詞になったのだとのことです。
ウィキペディアの執筆者,2023,「地図帳」『ウィキペディア日本語版』,(2024年8月26日取得,https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E5%9C%B0%E5%9B%B3%E5%B8%B3&oldid=97949799).
「繻子」の「атлас」は、トルコ語から、さらに元をたどるとアラビア語の「滑らかな」と言う意味の言葉から来ているそうです。
英語では「satin」、ポルトガル語では「cetim」と言いますが、これはアラブ人がこの布を買い付けていた中国の港湾都市の名前が元となっているそうです。
「繻子、サテン」というのは織り方の名前で、材料は絹、綿、合成繊維だったりします。綿糸のサテンは英語では「sateen」と言うらしいです。
ロシア語の辞書には「сатин」という単語もあり、これも「繻子、サテン」という訳語になっています。Googleで検索すると「атлас」と「сатин」の間には微妙な違いがあるようです。
昔、家庭科の授業で布の種類について学んだような気がしますが、すっかり忘れました。ローン、サッカー、サージとか……。今読んでいる小説には「バチスト」という布の名前がたびたび出てくるのですが、「バチスト」と「ローン」は違うものなのか? 考え始めるときりがないのでこのへんでやめておきます。
「メリヤス」と呼ばれる布地があり、これは織物ではなく編み物で、たとえばTシャツなどはメリヤスで作られています。この「メリヤス」という言葉の「メリ」について、私は長いこと「メリケン粉」の「メリ」と同じものだと思っていました。つまり「アメリカンなんとか」の略だと思っていたのです(「ヤス」が何なのかは考えたこともなかった)。
ところがあらためて辞書で「メリヤス」のところを見てみると、
ポ meias=靴下
と書かれていました。
リンク
「メリヤス」はポルトガル語だったのか……。世の中まだまだ私の知らないことばかりでびっくりです。

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