2019年11月02日

魚介類

 ブラジルでは決して「さかな」と言ってはいけない、と何度も言われた。首都のブラジリアでは最悪でなぐられるくらい、地域によっては最悪の場合、殺されることもあると。

 最近、ブラジル人の先生に、この「さかな」について聞いてみたところ、「日本人の発音する『さかな』は『sacana』とは違うから、気にする必要はない」と言われた。

 この『sacana』の意味が私にはよくわからない。辞書を見ても、生死にかかわるほどのこととは思えない。たぶん一生わからない。

 ロシアでは「えび」と言ってはいけないと言われたことがある。という話をロシア人にしたら、日本人の発音する「えび」は卑猥語には聞こえないから、問題ないと言われた。

 いずれにしろ、危ないことは言わないに越したことはない。

 ロシア語の икра が日本語の「イクラ」の語源だというのは、まあまあ知られた話。красная икра (赤いイクラ)が日本での「イクラ」で、чёрная икра (黒いイクラ)はチョウザメの卵、日本で言うキャビアのこと。икра сельди はニシンの卵だから、数の子。小説などに「икра」と出てくると、魚の卵であることはわかるけど、具体的には何なのかは説明がないとわからない。ブルガーコフの『Собачье сердце』(犬の心臓)で、プレオブラジェンスキー教授の食卓に「イクラ」が出てきて、私は「赤いイクラか黒いイクラか、どっちなんだろうなあ」と考え込んだことがある。

 ロシアでは赤いイクラは、昔は日本より安かったような気がするのだが、最近はそうでもないような。人工イクラも売られるようになった。日本の人工イクラは本物と見分けがつかないくらいのものだそうだが、私が見たロシアの人工イクラは、固めのゼリー、あるいはやわらかめのグミと言った感じで、明らかに別物だとわかる。消費者をだましているわけではなくて、ちゃんと「имитированная」と書かれていたりする。


株式会社キミカ 食べられる!!イクラ風ゼリー実験セット


 иваси はイワシ、その中でもマイワシのこと。これは日本語から。イワシは普通は сардина と呼ばれるかな? сардина の一種が иваси、といった感じか。минтай はソケソウダラ。漢字で書けば「明太」。これは朝鮮語が元になっている。



 昔、Turma do Gambá という音楽サークルの演奏会に連れていってもらったことがある。サークルのシンボルは gambá(ガンバー) という動物。gambá は臭いにおいを出す動物だと教えてもらったから、イタチかな、と思った。

gamba.jpg

 あとで辞書を見たら、「フクロネズミ、オポッサム」と書いてあった。私の頭の中では、gambá と『ガンバの冒険』のガンバが勝手に結びついた。






 ポルトガルで中華料理店に行ったら、メニューの中に「gamba」があった。ポルトガル人はあの動物を食べるのかと驚いたが、同行の人が gamba は「えびの一種」だと教えてくれた。よく見ればアクセント記号がついていないので、gambá(ガンバー) と gamba (ガンバ)は別の言葉なのだった。ブラジルでは gamba という言葉は使わなかったと思う。

"Camarão e gamba têm as suas diferenças"
http://ensina.rtp.pt/artigo/camarao-e-gamba-tem-as-suas-diferencas/

 ↑の情報によると、camarão は小さめで、gamba は大きめ。camarão はギリシア語の「カマロース」という言葉から来ている。「カマロース」という言葉はエビだけではなく、caranguejo (カニ)や lagosta (伊勢海老?)のことも指す。gamba はイタリア語の「脚」を意味する言葉から来ているとのこと。

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posted by ごー at 21:10| Comment(0) | ポルトガル語とロシア語 | 更新情報をチェックする

2019年09月16日

アクセントの問題(2006年の日記から)

 昨日は日曜日だったけど、私は夫と一緒に夫の職場に来て、mixiの書き込みをしたり、サッカー日本代表の顔写真を見て、確かに美男揃いであると感心したりしていた。

 どこかでM氏とO氏が大きな声で何やら言い争っているのが聞こえた。

 何事かと思っていると、二人して夫の部屋にやってきて、M氏が夫に問うた。

 「『красивый(くらしーゔぃー)』(美しい)の比較級のアクセントはどこにある?」

 夫が「『красивее(くらしゔぇーえ)』だと思う」と答えると、M氏は勝ち誇った表情で「ほーらね。少なくともレニングラードでは『красивее(くらしゔぇーえ)』と言うのだ。『красивее(くらしーゔぇえ)』というのは、きっとノヴォシビルスクでの方言に違いない」と言った。

 結局、地方によってアクセントの位置には違いがあるのだということで、二人はお互い納得したようだった。

 ロシア語の単語は、よくアクセントの移動があるのでややこしい。その点、ポルトガル語では一番後ろか、後ろから二番目の母音にアクセントがあることになっていて、それ以外のものには必ずアクセント記号をつけることになっているので、大変わかりやすい。

 それはともかく、ロシア国内でも地域によってアクセントの位置が違うのだったら、私がアクセントの位置を間違えたりしても、それはそんなにはずかしく思うほどのことではないのかもしれないとわかって、なんだか安心した。

 帰宅して研究社露和辞典を見たら、特に注釈はなかったので、ノヴォシビルスク出身O氏の主張が標準語としては正しいことになると思うのだけど、一体どっちが正解なんだろうか。






 ということを、その時mixiの日記に書いたら、大学でロシア語を教えているKさんが、「比較級のアクセントの位置は、短語尾女性形のアクセントの位置と同じになります。красивыйの短語尾女性形はкрасива(クラシーヴァ)ですから、比較級はкрасивее(クラシーヴェエ)。標準ロシア語ではOさんの主張が正しいことになります」と教えてくれたのだった。

 アクセントというのもまた厄介で、ロシア語やポルトガル語のアクセントのある音は、私には長く発音しているように聞こえる。それで、ポルトガル語の「gato(猫)」を「がーと」と言ったら、先生から「違います」と言われ、何度も練習させられたのを覚えている。

 自分の母語のことは外国人よりもよく知っていると思いがちだけれど、案外そうでもない場合もあるのかも。私も「乗」の書き順が違っていると、外国人から指摘されたことがある。

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posted by ごー at 21:51| Comment(0) | ポルトガル語とロシア語 | 更新情報をチェックする

2019年07月18日

ロシア人、ポルトガル語を学ぶ

 ロシアのテレビ局に「Культура」というのがあって、名前の通り文化的な番組を放映している。音楽、文学、映画等々……。YouTubeにも「Телеканал Культура」というチャンネルがあって、いろいろな番組を見ることができる。日本にいながらにして、パソコンさえあればロシア語の番組を見ることができるというのは、たいへんありがたいことである。

 この中に「Полиглот. Выучим португальский за 16 часов!」(ポリグロット。16時間でポルトガル語を習得しよう!)という番組を見つけた。



 生徒は八人。ポルトガル語を学びたいと思う動機はそれぞれ違うのだが、みな真剣に学習に取り組んでいる。

 日本にも外国語を教えるテレビ番組はあるけれど、「どうせ台本があるんでしょう」と、ひねくれものの私は思ってしまうのだが、このロシアの番組では台本があるようには見えず、生徒たちがポルトガル語をうまく言えずに困ったり、わからなかったことがわかった時にその顔がぱーっと明るくなったりと、その様子がとても自然で、自分もこの教室に一緒に参加しているような気分になってしまう。

 先生の言っていることや書いていることが、時々私の知識と違うことがあるので変だなあと思ったのだが、この先生、「ポリグロット」なので、ポルトガル語が専門というわけではなく、他に英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、中国語、ヒンディー語も教えている。ポリグロットとはいっても、すべての言語を正確に記憶するのは大変なのかもしれない。そして、多くの言語を知っている人だからこそ持てる視点というものもあるように感じる。

posted by ごー at 10:30| Comment(0) | ポルトガル語とロシア語 | 更新情報をチェックする