2023年09月25日

「瞞著」は、なんと読む?

オンライン学習会でゴーゴリの『Мертвые души』(死せる魂)を読んでいます。詐欺師(?)チチコフとの旅は第七章に入りました。






チチコフが、買い集めた死人の名簿を見ながら、この人はどんな人生を送ってきたのだろう、どんな死に方をしたのだろうと想像する場面があります。

その中に「обманывали бар」という言葉がありました。バーをだます? 飲み屋のつけを踏み倒したのだろうか、なんて思ってしまったのですが、先生の説明を聞いて、ここの「бар」は「барин」の複数対格であることがわかりました。

これに該当する日本語訳は「旦那を瞞著するような奴もあれば、」となっています。






「瞞著」? 原文では「обманывали」なのだから「だますこと」という意味なのだろうとは思いますが、私は「瞞著」の読み方がわかりません。私は日本人なのに、1842年、19世紀のロシア語の意味はわかって、1939年、20世紀の昭和の時代に出版された翻訳本の日本語を知らないとは、なんだか不思議な感じです。

「瞞著」は何と読むのだろう? 「まんちょ」かなと思って辞書を見てみますが見当たりません。

検索エンジンで「瞞著」と入力して検索してみたら、「まんちゃく」と読むのだということがわかりました。

あらためて国語辞典で「まんちゃく」を調べてみると、そこには「瞞着」と書かれていました。あれ? 漢字が違う。「瞞着」ならばすぐに「まんちゃく」と読めるのだけど……。

そして私は知ったのです。「着」は、もとは「著」の俗字であったということを!

goo辞書
https://dictionary.goo.ne.jp/word/kanji/著/

今の今まで、「着」と「著」はまったくの別物だと私は思っていました。びっくりです。

ラベル:日本語
posted by ごー at 01:26| Comment(0) | 日本語 | 更新情報をチェックする

2023年08月12日

私が勘違いしていたこと

わりと長く生きているような気がしますが、世の中には私の知らないことばかりで毎日驚いています。

「内田洋行」

「内田洋行」という会社があります。この社名について私は、創業者が「うちだようこう」さん、あるいは「うちだひろゆき」さんなのだろうと思い込んでいました。「マツモトキヨシ」が創業者の名前を社名にしているのと同じように。

昨日、インターネットを見ていた時に、中国には「◯◯洋行」という社名の会社があることを知りました。

えっ! では「内田洋行」はもしかして……。

「内田洋行の歴史」というページを見てみました。
https://www.uchida.co.jp/company/corporate/history.html

『洋行』とは、中国語で“外国人の店”という意味をもちますが、それと同時に、当時は多くの人々の挑戦意欲をかきたて、未知の領域に挑む、“フロンティアの気概”がイメージされることばでした。


と書かれています。「ようこう」さん、「ひろゆき」さんのことではなかったのか……。創業者は内田小太郎氏だとのことです。

「チーズタッカルビ」

四、五年前くらいのことでしょうか、「チーズタッカルビ」という韓国料理がはやっているというのをテレビでたびたび見ました。

「カルビ」というのだからきっと牛肉の料理なのだろうと私は思いました。その頃の私は牛肉をなるべく食べないようにしていたので、自分には関係ないことなのだと思っていました。

Duolingoの韓国語を少しやってみて知ったのですが、「タッ(닭)」というのは「鶏」のことなのでした。そして「カルビ」は「ばら肉」のことなのだそうで……。

鶏肉料理だったとは……。一度くらい試してみればよかったと後悔しています。しかし、材料を揃えれば家で作るのも難しいものではないようです。

「おしょくじけん」


これは子供の頃の思い出です。

テレビからよく「おしょくじけん」という言葉が聞こえてきました。「おしょくじけん」で何かよくないことをした人たちがいるようなのです。

「おしょくじけん」ってデパートの食堂で渡される小さな紙のことだと私は思いました。あの「おしょくじけん」を使ってよくないことをしている人たちがいるなんて!と私は驚きました。

「汚職事件」と「お食事券」が別物であることを知ったのは、だいぶあとになってからのことでした。

「だいじん」

これも子供の頃の思い出です。私は四歳か五歳くらいだったかと思います。

私は祖母と一緒に街道を歩いていました。時々、道の両側に、大きな白い家があることに私は気づきました。

私は自分から話しかけることがめったにない子供でしたが、その時は珍しく祖母に話しかけたのでした。

私「おばあちゃん、あの白い大きなおうちはなあに?」
祖母「あれは『おくら』というのだよ」
私「おばあちゃんのおうちに、おくらはないねえ」
祖母「おくらがあるのは『おだいじん』のおうちだよ。うちはおだいじんではないから、おくらはないんだよ」

おだいじん? おだいじんってテレビに出ている背広を着たおじいさんたちのことだよね、あの人たちはこのあたりに住んでいるのか、と私は思いました。

「大尽」と「大臣」が別物であることを知ったのは、それからだいぶたってからのことでした。

他にも勘違いしていたことはたくさんあり、今に至るまで勘違いしたままのこともたくさんありそうです。本を読み、辞書を読み、人の話を聞いて、勘違いを正していきたいものだと思います。

ラベル:日本語
posted by ごー at 02:23| Comment(0) | 日本語 | 更新情報をチェックする

2023年08月05日

辞書を読む

YouTubeの「有隣堂しか知らない世界」(https://www.youtube.com/@Yurindo_YouTube)というチャンネルで「新明解国語辞典」が紹介されていたので見てみました。



有隣堂は横浜に本社がある書店チェーンで、私は一時期、新宿の小田急百貨店の10階にあった「STORY STORY」という名前のお店にほぼ毎週行ってました。本の並び方が独特で、雑貨売り場にはすてきなものがたくさんあって、とても楽しかったのを覚えています。

「新明解国語辞典」は2020年に第八版が出版され、新しい言葉も追加されているそうです。






「新明解国語辞典VS三省堂国語辞典の世界」という動画もあります。



辞書って楽しいものですね。

小型現代語辞書のさきがけ――『明解国語辞典』誕生から80年
https://dictionary.sanseido-publ.co.jp/topic/meikok80/

実は、私も新明解国語辞典を持っています。1996年3月8日に税込2500円(本体2427円)で購入したものです。あの頃は消費税が3パーセントだったんですね……。うちにあるのは第四版、第三十刷です。






アマゾンにあるレビューによると、語釈が面白いのは第四版の四刷までなのだそうです。

なぜ私がこの辞書を購入したのかと言いますと、1990年代半ばに『新解さんの謎』という本が流行し、それを読んだからなのでした。






うちにある「新明解国語辞典」の表紙には「金田一京助」の名前があります。最近、『日本文学のススメ(無料版)』という漫画を読んだのですが、そこに登場する金田一先生がいい人すぎてびっくりしました。






私は新明解を持ってはいるものの、あまり使ってはいませんでした。そこで、あらためてよく見てみることにしました。私のは第四版、第三十刷です。

有名な「恋愛」の語釈の中に「合体」という言葉が出てきます。そこで「合体」の項を見てみると……。

(前略)この辞書でのえんきょく表現。


とあります。この辞書内だけでの意味があるとは! いや、この言葉は『釣りバカ日誌』でも使われていますね。

勉強」のところを見てみます。冒頭に括弧入りで、

そうする事に抵抗を感じながらも、当面の学業や仕事などに身を入れる意


とあります。ということは、私の外国語の勉強は、勉強ではないのかな? なぜなら特に抵抗を感じてはいないので。

読書」を見てみます。

かなり独特な説明がされていて、最後に括弧入りで、

寝ころがって漫画本を見たり電車の中で週刊誌を読んだりすることは、勝義の読書には含まれない


と書かれています。これにはびっくり仰天しました。私の生活をのぞき見されているのかと、一瞬思ってしまいました……。といいますのも、一日中ごろごろしながら漫画を読んだ日とか、長時間電車に乗って週刊誌を読んだあとに、私はいつも「今日はたくさん読書をした!」と満足していたからです。

私はロシア語に興味があるので「イクラ」を見てみました。

[ロ ikra] 筋子を、一粒ずつ離した食品。カナッペに載せたりする。


食べ方が提案されている点が斬新だと思いました。それも、イクラ丼や軍艦巻きではなく「カナッペ」であるところに、この言葉は外来語なのであるということが強調されているように感じました(←そんなことを思うのは私だけかもしれませんが)。

前回、「エスカロープ」について書きましたが、(「エスカロープ」とは何ですか?https://kotobanobenkyo.seesaa.net/article/500223784.html)、新明解に「エスカロープ」はちゃんと掲載されていました。

[フ escalope] 薄切りの肉。

しかし、不思議なことに「餃子」がありません。「ラーメン」「肉饅」「餡饅」はあるのですが。「八宝菜」「麻婆豆腐」もありません。この辞書を作った人たちは、中華料理にはあまり興味がなかったのでしょうか?

辞書を眺めていたら、あっという間に二時間たっていました。知っているはずの言葉も、あらためて辞書で見てみると新しい発見があったりします。今後はもっと国語辞典を活用しようと思いました。
ラベル:日本語
posted by ごー at 07:57| Comment(0) | 日本語 | 更新情報をチェックする