テンチェートニコフという若い地主がいます。彼は自分で畑の世話をやってみたこともあるのですがうまくいかず、いずれは大著をものにするのだと思いつつも何も書き進めることができていません。
彼の領地から十キロほど行ったところにある村に、ある将軍が住んでいて、その将軍の娘がちょっと独特な魅力を持つ女性でした。テンチェートニコフは恋の始まりを感じてうきうきするのですが、将軍と仲違いして交流を絶ってしまいます。なんでも、将軍に「Ты」で呼ばれるのが我慢できなかったのだそうで(将軍の方が明らかに年上なんだから、тыでいいんじゃないか、と私は思いましたが、そのあたりの加減がよくわかりません)。
それであの娘さんに会うという楽しみを失ったテンチェートニコフは、自堕落な日々を送るようになります。その生活のだらしなさを描写したなかに、こういう一文がありました。
Панталоны заходили даже в гостиную.
はて? パンタロンで客間にいるのは悪いことかな? 「パンタロン」という言葉で私の頭に浮かんだのは、しっかりした布でできたおしゃれな形のズボンだったので。
しかし、ロシア語の先生によると、ここの「пантароны」は「трусы」みたいなものなのだそうです。「パンツ」?
あとで平井肇訳の該当する箇所を見てみたら「股引」とありました。なるほど!
それから「трусы」は「パンツ」だけど、「трусы」は「臆病者」の複数形だなと思いました。
つまり、
Трусы покупают трусы.
「臆病者たちがパンツを買う。」
Трусы покупают трусы.
「パンツがパンツを買う。」
となるわけです。
我ながら面白いことを考えついたと思ったのですが、発表する場がないので、ここに書き記しておきます。でも冷静になってよく見てみると、そんなに面白くもなかった……。
「股引」といえば、昔学校で百人一首を習った時、特に男子たちは「ももしきや〜」で始まる歌が気に入っていたみたいで、男の子たちが「ももひきや〜」と言い換えて読んで楽しんでいたのを覚えています。
「教えて!goo」に興味深い書き込みがありました。
パロディー版「百人一首」
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/2101298.html
こういうのを見聞きしたら、すぐに元の歌も思い出して楽しめるようになりたいものですが、昔覚えたはずなのにすっかり忘れてしまいました。
最近は「ズボン」のことを「パンツ」と呼ぶことがあるようです。私は子供の頃に「パンツ」は下着のことであると覚えてしまったので、自分のはくズボンを「パンツ」と呼ぶのはちょっと恥ずかしいような気がしてしまいます。
イギリスでは「pants」は下着のことを指すと聞いたことがあります。ということは「パンツ」をズボンの意味で使うのはアメリカ式ということなんでしょうか。
衣服の名称というのはとても身近なものなのに、私はいまだによくわかっていなかったりします。たとえば、私は「кофта」が何なのかよくわかりません。画像検索で「кофта」を見てみても、これは「свитер」とは違うのだろうかと疑問に思ったりします。
「толстовка」というのは、パーカーのことだと私は長いこと思っていたのですが、フードがついていなくてもスウェット生地でできていたら「толстовка」と呼ばれるらしいということに最近気づきました。すると、日本でいうところの「トレーナー」は「толстовка」なのかな? そして「トレーナー」は和製英語なんですね。
Yahoo! 知恵袋
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10103763130

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