2023年06月30日

「あぶらかだぶら」は何語なのでしょうか

ポルトガル語の本を読んでいたら「algaravia」という言葉が出てきました。

辞書で見てみます。私が使っている辞書はこれです。電子辞書の脇に挿して使っています↓






親指の爪くらいの大きさの中に、辞書二冊と教科書一冊が入っているのですからびっくりです。

これで「algaravia」のところを見てみると、

1 アラビア語.
2 複雑で理解不能な言葉;難解な事柄, ちんぷんかんぷん


とありました。

そこで思い出したのが、スメシャーリキの『Полеты во сне и наяву』です。



最後の場面で、いろいろあってけがをしたペンギンのピンのために、カラスのカル・カールィチが本を読んであげるのですが、カル・カールィチが、

Какая-то абракадабра.


と言うのです。

研究社露和辞典で「абракадабра」のところを見てみます。

1 (昔の迷信で)熱病を治す呪文(じゅもん).
2 ちんぷんかんぷんな言葉(бессмыслица).


ポルトガル語の辞書にも「abracadabra」はあって、

1 アブラカダブラ(病気・災厄を払う呪文, 魔よけ札のまじないの言葉);その魔よけ札.
2 迷信.
3 ちんぷんかんぷん;たわごと


とありました。

子供の頃、手品ごっこや魔法使いごっこをする時には「あぶらかだぶら」だの「ちちんぷいぷい」だのつぶやいたものですが、「あぶらかだぶら」は日本語なのだと私はかなり長いこと思っていました。「油かダブラ」かなあと。「ダブラ」が何なのかは自分でもよくわかっていませんでしたが。






では「アブラカダブラ」は実際のところ何語なのでしょうか。国語の辞書には「ラテン語から」と書かれていましたが、ウィキペディアによると、いろいろな説があるようです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/アブラカダブラ

謎めいた言葉ですが、出どころも未だに謎だということです。

スメシャーリキの『Полеты во сне и наяву』を紹介しましたが、同名の映画がありました。「中年の危機」を扱ったもののようです。オレグ・ヤンコフスキーが主演で、オレグ・タバコフとオレグ・メンシコフも出演しています。あれ、みんな「オレグ」だ。この名前は人気があるのでしょうか。



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posted by ごー at 00:27| Comment(0) | ポルトガル語とロシア語 | 更新情報をチェックする

2023年06月27日

机は私の個人秘書

先日、研究社露和辞典を眺めていた時に、「секретер」という単語を見つけました。






発音の注意書きがあるので、外来語かなと推測されます。「шедевр(傑作)」も発音に注意です。

「секретер」の意味は……。辞書から引用します。

1 ライティングデスク(書類分類箱とひきだしのついた折り込みぶた式の机).

2 各語の頭文字から句をあてる遊び.


Googleで「секретер」の画像を検索してみると、それは私の憧れの家具でした。

↓こういうのに憧れているのですが、これも「секретер」だと思われます。






「секретер」という言葉をじっと見つめていて気づきました。これはポルトガル語の「secretária」と同じなのです。

ポルトガル語の「secretária」は机上に棚のないものを指すこともあり、単なる事務机も「secretária」だったりします。

「secretária」には「女性の秘書」という意味もあります(男性秘書は「secretário」)。机のことを「secretária」と呼ぶのは、女性の秘書のようにいつも一緒に仕事をしてくれるからなのだと今の今まで私は思っていました。

でも「секретер」は男性名詞です。フランス語でこの種の机を指す「secrétaire」も男性名詞のようです。

おそらく「secretária」は「mesa」(卓、机)を修飾しているから女性形なのではないでしょうか。

英語ではこういう家具のことを「secretary desk」とも呼ぶみたいです。

ロシア語、ポルトガル語、そして英語は、結局のところヨーロッパの言語なので、共通の語彙が少なくありません。最近も、「серьезный」が英語の「serious」でありポルトガル語の「sério」であることに気づいて、なんで今頃気づくかなあと自分の鈍さ加減に呆れたものです。しかし、似たような見た目の言葉でも、それが指すものや意味するところは少しづつ違っていたりするので注意が必要です。辞書をよく見て確認することが大切です。

さて、今私が使っている机は十年以上前に間に合わせに買ったパソコンデスクであり、壊れていないので今も使っているわけです。

↓こんな感じのものです。






引き出しも棚もないけど、私のsecretária、個人秘書のようなものです。大事に使いたいと思います。

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2023年06月18日

ひとりともしびのもとにふみをひろげて

ゴーゴリの『死せる魂』を読んでいます。(過去記事「『死せる魂』と『犬の心臓』と蜂蜜大根」https://kotobanobenkyo.seesaa.net/article/499319968.html

面倒くさがりの私が自分から長編小説を読もうという気になるはずがありません。自分の自由に任せていたら、一冊読み終わるのに五年以上かけてしまうという怠け者ですから(過去記事「Joaquim Machado de Assis『Memórias Póstumas de Brás Cubas』」https://kotobanobenkyo.seesaa.net/article/498778910.html)。

本当に自分がだめすぎて、他の人が一年で達成するものに十年かけているのではないかというくらいで、まったくいやになります。私がたとえ百年生きたとしても、普通の人の十年分の人生なんじゃないかと思います。

その私がなぜ『死せる魂』を読んでいるのかといいますと、オンライン講座の課題書だからなのでした。

他の生徒たちは、授業の時、初見で読んでいるように見受けられるのですが、私にはそんなことはとても無理なので、kindle版を使って予習をします。






私は教養がないので、『死せる魂』は幽霊の話なのだとずっと思っていました。だって、『ヴィー』や『外套』を書いた人だし……。それで読むのを避けていました。もちろん長いというのも避けていた理由の一つです。

実際に読んでみると、これは恐怖小説ではなく喜劇です。しかし考えようによっては恐怖小説かもしれません。

自力では読み解けないので、日本語訳の助けを借ります。






日本語訳と照らし合わせながら読んでいると、まるで平井先生の個人授業を受けているような気持ちになってきます。

そこで、徒然草第十三段の最初の一文を思い出したというわけです。

「ひとり、ともしびのもとに文をひろげて、見ぬ世の人を友とするぞ、こよなう慰むわざなる」

もちろん、ゴーゴリ先生からも語りかけてもらっています。

現在はいい辞書もあるしインターネットもあるので、日本にない事物がどんなものなのかを簡単に調べることができますが、この翻訳が出た1938年にはどんな辞書が使われていたのでしょうか。「ватрушка」を「凝乳饅頭」と訳すなんてかっこよすぎです。

私のような理解力のない生徒も、平井先生は見放さずに面倒を見てくれます。ごくまれに、ここはこうなんじゃないかな?と思うことがあっても、質問に答えてもらえないのは残念なのですけど。

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ラベル:ロシア語
posted by ごー at 07:08| Comment(0) | ロシア語 | 更新情報をチェックする