2023年03月28日

読書記録 Joaquim Machado de Assis『Memórias Póstumas de Brás Cubas』

私が購入した時には99円だったのに、いつの間にかお高くなっていてびっくりです。






現在は無料のもあるので、本文だけ読めればいいという方にはこちらの方がお得だと思います。






私が読んだものには、作家の生涯について書かれていました。

その中で次のような逸話が私の印象に残っています。

ある時、マシャード・デ・アシスは浮気をしているのではないかと彼の友人たちが疑いを持ち、彼のあとをつけたことがあったそうです。実はマシャード・デ・アシスは浮気をしていたわけではなく、イタリアの画家Roberto Fontanaの『A Dama do Livro』という絵を毎日見に行っていたのでした。マシャード・デ・アシスにその絵を買えるお金がないのを知った友人たちは、お金を出し合って絵画を購入し、作家にプレゼントしたのでした。いい話です、いい友人たちです、そして彼は愛されています。

こんな風に浮気を疑われたこともあるマシャード・デ・アシスですが、五歳年上のポルトガル人の奥さんカロリーナとは、カロリーナが亡くなるまでの三十五年間ずっと仲の良い夫婦だったそうです。

この小説の内容ですが、私は読んだというより目を通したと言った方が正確であり、面白いのか面白くないのか、なんだかよくわかりませんでした。とてもよいことが書かれているような、そうでもないような? 夏目漱石の『我輩は猫である』みたいな感じ? あの本、私は一度も読み通したことがないのです。最初と最後だけは何度も読んだのですが……。あれを面白いと思えないのは私の教養が足りないからでしょう。

『Memórias Póstumas de Brás Cubas』は、ブラス・クーバスという人物が、 死んでからあの世で、自分の生涯について書き綴る、という内容です。ヨーロッパの主要な歴史や文化(主にイタリアやフランスの)に詳しい人は楽しく読めるのではないかと思われます。

私がこの本について知ったのは、2015年の初め頃でした。当時私は某駅前留学でポルトガル語の勉強をしていまして、そこのブラジル人の先生が「面白い本があるよ。死んだ人が作家になるという話なんだよ」と教えてくれたのでした。私が「でも私には難しいのではないでしょうか」と尋ねると、「大丈夫、ごーなら読めるよ」とのことでした。

それからまもなく、私は駅前留学に行くのをやめました。お金と体力が続かなくなったからです。もし私が超絶お金持ちで体力が有り余っていたら、今でも通っていたと思います。が、しかし、今はポルトガル語のクラスはないみたいです。私が通っていた頃は、ポルトガル人の先生とブラジル人の先生がいて、二種類のポルトガル語を勉強できたので面白かったのですが……。

2015年は私にとっては悲しい年で、叔父一人、知人二人が亡くなりました。知り合いの少ない私にとってこれは大きな衝撃であり、死について考えこむことが多くなりました。それで、あのブラジル人の先生が言っていた本のことを思い出して、買ってみたのが2015年の暮れでした。

買ってはみたもののやっぱり難しそうということで放置し、読み始めたのが私の覚書によると「2017年12月16日(土)」となっています。一冊の本を読み終えるのに五年以上かけたわけです。我ながら何をやっているのだか……。

ブラス・クーバスの友達にキンカス・ボルバという人物がいて、この人はHumanitismoという新しい思想というか哲学というか、ほとんど宗教みたいなものを考え出すのですが、マシャード・デ・アシスは『Quincas Borba』という題名の本も書いているみたいです。

キンカス・ボルバの死後、残されてしまう犬(犬の名前もキンカス・ボルバ)の世話をすることとと引き換えにキンカス・ボルバの遺産を受け取ることになるPedro Rubião de Alvarengaが主人公のようです。






『Memórias Póstumas de Brás Cubas』は『ブラス・クーバスの死後の回想』という題名で、日本語訳が二つ出ています。











前者のサンプルをダウンロードして最初の部分を読んでみたら、ちょっとヨハネの黙示録みたいで面白かったです。なにしろ読み始めたのは五年以上前ですので、内容をすっかり忘れていました。次の読書は『Memórias Póstumas de Brás Cubas』をもう一度最初から読むか、『Quincas Borba』に挑戦するか、あるいは自分の語彙力、読解力に合った他の本を読むか、どうしましょうか……。

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posted by ごー at 20:23| Comment(0) | ポルトガル語 | 更新情報をチェックする

2023年03月26日

かわいい機関車『Паровозик из Ромашкова』

前回は、Олег Ларченкоの『Холодильник』という短編小説について書きました(過去記事「Олег Ларченко『Холодильник』」https://kotobanobenkyo.seesaa.net/article/498676871.html)。この短編小説には冷蔵庫を巡るいくつかの話が書かれているのですが、その中に、冷蔵庫に男性の名前をつけてかわいがる(?)女性が出てきます。

生き物でないものを生き物のようにみなすというのは時々見られることで、たとえば人形やぬいぐるみがその外見や目的からして生き物のように扱われるのは当然のことですが、その他にはある種の楽器、乗り物、最近ではロボット掃除機などもそのように扱われることがあります。

蒸気機関車も生き物になります。

有名なのは『きかんしゃトーマス(Thomas & Friends)』です。これは1945年に最初の本が出版されたThe Railway Seriesと呼ばれる一連の絵本を元に映像化したものとのことです。






日本には『きかんしゃ やえもん』がいます。やえもんは1959年に出版された絵本の登場人物です。






ソ連にもかわいい蒸気機関車がいました。1967年のアニメ『Паровозик из Ромашкова』です。

Мультфильм "Паровозик из Ромашкова"
https://mults.info/mults/?id=264

かわいい! 蒸気機関車ちゃんの声をあてているのは、クララ・ルミャーノヴァ(Клара Румянова、1929 — 2004)です。この人はチェブラーシカや『Ну, погоди!』のうさぎの声の人です。

ロマシュコヴォ(Ромашково)発の機関車ちゃんはいつも時間に遅れて到着します。駅で拡声器のおじさんに「Я больше не буду.(もうしません)」ってみんなに言ってくださいとお願いして、自分でも「Я очень, очень постараюсь.(ものすごくがんばります)」と言って、今度はロマシュコヴォに向けて出発します。みんなに約束したのに、機関車ちゃんは今回も道中でたびたび立ち止まってしまうのです。なぜなら……。

Ромашковоという名前の村は実際にいくつか存在するようです。Ромашковоはромашка(カミツレ、カモミール)という花の名前から来ています。最後の方で機関車ちゃんが手(車輪?)に持っている白いお花はきっとカモミールなのでしょう。

時間を守るのは大事なことですが、時には立ち止まってカモミールのお茶でも飲みながら、ゆっくり周りを眺めてみるのもよいのではないでしょうか。忙しい人間の世界では、これはなかなか難しいことではありますが……。

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ラベル:ロシア語 映画
posted by ごー at 06:57| Comment(0) | ロシア語 | 更新情報をチェックする

2023年03月22日

Олег Ларченко『Холодильник』

冷蔵庫は祭壇であり神であり同居人であり、時に町中の冷蔵庫と結託して反乱をおこしたり……というお話。






冷蔵庫は一種の祭壇であり神である、という話は、言われてみれば確かにそうだなあと納得してしまった。

面白くて、次はどうなるのかと読み進めていくと、実はこの物語は……。

今後、私の冷蔵庫を見る目が変わりそう。冷蔵庫だけでなく、他の家電や道具やその他いろいろなものを見る目が変わりそう。みんな実は、私の大事な家族みたいなものなのです。

私が時々経験することですが、たとえば「最近、パソコンの調子が悪いなあ」と思う。新しいのを買おうかなと思って、販売サイトを見たり、店に行って次はどれがいいかなと見たりする。すると、調子悪かったはずのパソコンが元気になるのです。これは不思議。こんなふうにしてパソコンは何度か復活するものの、最終的にはだめになってしまうのですけど……。ただの物体、機械という以上の何かがあるように思えます。

そして、洗濯機のドラムの回転も、宇宙に影響を及ぼしているかもしれないのです。

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posted by ごー at 00:01| Comment(0) | ロシア語 | 更新情報をチェックする