ある時、ポルトガル語では「鏡」のことを「espelho」というのだと覚えた。
「鏡」は英語では「mirror」。では、ロシア語では?
出てこない。思い出せない。こんなに基本的な言葉を忘れてしまうなんて!
家に帰って辞書を見た。ロシア語の「鏡」は「зеркало」だった。
今後私は「зеркало」を忘れることはないだろう(たぶん)。
私の頭はところてんを作る道具のようだ。後ろから入ってくるものがあると、その分前から出ていってしまう。
現在私は、Duolingoで「ポルトガル語から学ぶエスペラント」をやっている。
La vetero estas tre varma, kvazaŭ estus jam somero.
をポルトガル語に訳す、という問題が出された。「somero」は「夏」。これがポルトガル語でなんというのかが頭の中から出てこない!
英語で「夏」は「summer」だ。ロシア語では「лето」だ。ポルトガル語の「夏」はなんという文字から始まるのだったか? 「S」でも「L」でもないようだが……。
……う〜ん、う〜ん、いくら思い出そうとしても出てこない。「春」は「primavera」、「秋」は「outono」、「冬」は「inverno」だということはわかるのに、「夏」だけが出てこない。
辞書を引いてしまうのは悔しい。アルファベットを順に思い出して、当てはまるものがないかを探す。
「A、B、C……」。「V」のところに来て思い出した。ポルトガル語の「夏」は「verão」だった。
何ヶ国語もできます、話せますという人たちは、どうやってそれらの言語を維持しているのだろう。毎日少しずつでも触れるようにすればいいのかな?
しかし、「夏」が出てこなかったのは、私にとって実に衝撃的な出来事だった。
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