2021年03月26日

Орëл и Решка『Неизведанная Португалия』ナザレの旅

『Орëл и Решка』というテレビ番組がある。YouTubeでも見られる。

私はずっとロシアのテレビ番組だと思っていたのだが、実はウクライナで制作されているのだとか。

登場人物は二人。二人は週末を世界のどこかの街で過ごすのだが、街に到着したら、まずコインの表と裏どちらが出るかを当てるゲームをする。

この遊びを「орëл и решка」という。「орëл」が表。ロシアのコインの表には双頭の鷲が描かれているので。「решка」が裏。このゲームでは、コインの金額が書いてある方のこと。なぜрешкаと呼ばれるのかについてはいくつかの説があるようだ。

このコイン当てゲームで見事当てると、クレジットカードを渡され、贅沢な週末を過ごせる。外れた方は100ドルを渡されるので、この金額で収まるように過ごさなければならない。

最近、この番組のポルトガル編があった。私はロシア語とポルトガル語に興味があるので、さっそく見てみた。



今回の登場人物はイヴァン・ドルンとアレクサンドル・グドコーフ。イヴァンはコイン当てで勝ったので贅沢旅行。アレクサンドルは100米ドル分のユーロ(この時点では87.76ユーロ)を渡される。

舞台はナザレ。ポルトガルの大西洋岸のちょうどまんなかあたりにある漁村。大きな波ができるので、サーファーにも人気の場所。

私は2015年の11月にここへ行ったのだった。バスでファティマへ行き、お参りと博物館見学をしてから、またバスに乗ってナザレへ。夜到着して一泊して、翌日観光という日程だった。ナザレは小さいけれどとてもいいところで、一泊だけの旅にしてしまったのを今でも残念に思っている。そして魚の干物を買わなかったのを後悔している。

ここのおばさんたちは伝統的な衣服としてミニスカートを着用していることで有名なのだが、7枚重ねであること、そして手仕事であるために高価なものであるというのは知らなかった。

イヴァンの宿泊先は、少し内陸に行ったところにあるブサコ宮殿。豪華ですごいなあ! ここには日本のエンペラーやアガサ・クリスティーが宿泊したことがあるという。博物館にあるような家具を実際に使ってもいいとは、なんとも贅沢だ。これで一泊650ユーロ。目の玉が飛び出るほど高くはないというのにまた驚かされる。(私には縁のないことだけど……。)

アレクサンドルはお土産売りのおばさんに紹介された宿へ行く。50ユーロのところを値切って40ユーロにしてもらうのだが、これだけの設備があれば50ユーロでも悪くない感じだ。

翌日、アレクサンドルはバスでファティマへ。イヴァンはコインブラへ。イヴァンはポルトガルの大学の伝統「praxe(新入生いじめ。ブラジルではtrote)」をちょっと体験。ポルトガルのこの習慣が私は大嫌い。そんなことをする暇があったら、学生は勉強をした方がいいと思う。これを行うことによって、学生たちの一体感が高まるのだとか言うひともいるけど、そうかな?

この番組では紹介されていないが、ナザレという町の名前のもとになった聖母子像を巡る物語、鹿狩り中の貴族を転落から救った聖母マリアの伝説など、ナザレには面白い話がある。

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ナザレ、また行きたいなあ。

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posted by ごー at 21:45| Comment(0) | ポルトガル語とロシア語 | 更新情報をチェックする

2021年03月09日

コップの中の嵐

最近、「Memrise」というのを利用している。言語、その他が学べるウェブサイトである。アプリ版もある。

Memrise
https://www.memrise.com

私は、ロシア語、英語、米語、ブラジルのポルトガル語、ポルトガルのポルトガル語をやってみている。

ロシア語、英語、ポルトガルのポルトガル語については、現地の人が例文を読んでくれてそれを聞き取るという課題がある。これは大変便利。というのも、市販のCD付き教材では読み手が一人とか、二人というのが少なくなく、「CDの中で読んでいる人」が言うことは聞き取れても、それ以外の人の言うことが私には聞き取れないということが頻繁にあるから。

ある日、Memriseでロシア語の勉強をしていたら、「буря в стакане воды」というのが出てきた。英訳に「it's a storm in a teacup」とある。ロシア語では「水の(入った)コップの中の嵐」なのに、英語では「茶碗の中の嵐」なんだな。しかし、これはどういう意味なのだろう。

研究社露和辞典で「стакан」のところを見てみると、

буря в 〜не воды⇨буря.


と書かれていたので、「буря」のところへ移動してみると、

б. в стакане воды コップのなかの嵐.


と書かれている。あら? 何か説明が書かれているのかと期待していたのだけど……。

そこで、電子辞書で調べてみると、「デジタル大辞泉」に「コップの中の嵐(あらし)」があった。

⦅ W=B=バーナードの劇の題名Storm in a Teacupから⦆当事者には大事(おおごと)でも、他にあまり影響せずに終わってしまうもめごと。


こういう表現があるなんて、今の今まで知らなかった。自分ではまあまあ長く生きているつもりだったけど、知らないことはまだまだたくさんあるのだった。

W=B=バーナードとは、William Bayle Bernard。19世紀のアメリカ生まれ、のちにイギリスへ渡った劇作家であり演劇評論家。

William Bayle Bernard(Wikipedia)
https://en.wikipedia.org/wiki/William_Bayle_Bernard

ヴィヴィアン・リー主演の『Storm in a Teacup』という映画がある。



これはドイツの劇作家Bruno Frankの作品『Sturm im Wasserglas 』をもとにして作られた(「茶碗」がロシア語と同じ「水のコップ」になった!)。

Wikipediaを見てみると、アメリカでは「tempest in a teapot」でイギリスでは「storm in a teacup」だとある。

Tempest in a teapot(Wikipedia)
https://en.wikipedia.org/wiki/Tempest_in_a_teapot

「Etymology」のところに、誰がいつこの言い回し、あるいは似たような言い回しを使ったかが述べられている。歴史に残っている中ではキケロが最初ということになるのかな。キケロの頃にはteaはなかったから、teacupでもteapotでもなく(似たような食器はあったかもしれないが)、「a tempest in a ladle」。「ladle」は「ひしゃく」。

ロシア語版のWikipediaを見てみる。

Буря в стакане(Википедия)
https://ru.wikipedia.org/wiki/Буря_в_стакане

こちらでは、この言い回しの作者はモンテスキューだけれども、類似の表現はそれ以前にもあるとして、アテナイオスの著作『食卓の賢人たち』の中の表現、ギリシャの言い回し、キケロが使ったローマの言い回しの三つが挙げられている。

英語版に戻り、「Other languages」のところを見てみると、どうやら「水のコップ」が「茶碗」より多いように見受けられる。

日本語の「コップの中の嵐」がW=B=バーナード作のお芝居の題名から来ているのだとしたら、「コップ」ではなく「茶碗」と訳されたはずではないのかな? 日本語で最初に「コップの中の嵐」という言い回しが使われたのはいつなのだろう。

「コップの中の嵐」について、詳しく書かれているブログがありました。

コップの中の嵐(新しいことわざ辞典)
http://nonyaho.blog.fc2.com/blog-entry-41.html




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posted by ごー at 21:55| Comment(0) | 日本語、英語、ロシア語 | 更新情報をチェックする

2021年03月03日

Ary dos Santos

Ary dos Santos(1937-1984)はポルトガルの詩人。

以前、この人の詩を使った歌について書いたことがあった(過去記事『Canção de Madrugar』)。






ポルトガル人がロシア語でAry dos Santosについて語っている動画を見つけた。

(動画、なくなってました……。2023年6月)

アリ・ドス・サントスはブルジョワ家庭の出身で先祖は貴族なのだが、庶民の言葉を好み、「民衆の詩人」と呼ばれるのを喜んでいたそうだ。彼はポルトガル共産党員でもあった。

彼の詩『Os Putos』を動画内で解説している。「putos」というのはリスボンだけで使われる言葉なのだそうだ(意味はmeninosとかrapazes。つまり「男の子たち」)。ブラジルでは違う悪い意味になってしまうから口にしない方がいいのだって。

(そういえば、「rapariga」という言葉も、ポルトガルでは悪い意味ではないが、ブラジルでは言わない方がいいと聞いたことがある。)

語っているDina Paulista氏、ロシア語達者だなあ。私もこれくらい話せるようになりたいものだ。この人の親とか祖父母がロシア人なのではないかと一瞬思ってしまったが、そうではなさそうだ。

ポルトガル語とロシア語は、日本語とロシア語ほど離れてはいないから、流暢に話せるようになるのはそんなに大変なことではないのかも?などと考えてしまったのだが、私は、英語の達者な日本人、ロシア語の達者な日本人、ポルトガル語が達者な日本人、そういう人たちに会ってきたから、結局のところ私の努力が足りないだけなのである。




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posted by ごー at 18:31| Comment(0) | ポルトガル語とロシア語 | 更新情報をチェックする