サーシャとマーシャは、力づくではなく言葉や仕草や口調で、猫たちと意思疎通をはかろうとしているのがすごい。この家の猫たちは、私よりもはるかに深くロシア語を理解しているようだ。
話は変わり、блинというのは、小麦粉で作った生地をイーストで発酵させたもので作るクレープみたいなもので、そのまま食べてもいいし、バターやジャムを塗ってもいいし、イクラを包んでみたりしてもいいし、いろんな食べ方ができる。
病気で寝込んでいるサーシャの看病(?)をしているメッシ。猫がのどをごろごろ鳴らす音には癒し効果があるようだ。しかし、メッシはのどを鳴らすだけではなく、なめまわすということもするので、それは睡眠のさまたげになっている……。なにしろ、メッシの舌は小さい猫と同じくざらざらしていて、それが普通の猫の何倍もの大きさなのだから、なめまわされたらかなり痛そう。
この動画の中で、サーシャが「блин」と言っている。なぜここで「блин」?
プログレッシブ ロシア語辞典で「блин」を見てみると
1⦅通例複⦆〘料理〙ブリヌイ(ロシア風クレープ;謝肉祭Масленицаの常食)
2⦅若者・俗⦆CD,DVD
3⦅俗⦆ちくしょう,くそっ
とある。2は形が似ているからだろうが、3の罵り語は何だろう。
ロシア語には、口にしてはいけない言葉があるという。そしてそのような言葉を使いたい時は、音が似ている言葉で代用する。その一つがблинだということらしい。
блинで代用された元の言葉はблядьで、これは研究社露和辞典にもプログレッシブ ロシア語辞典にも載っている。
ある年のмасленица(これはキリスト教が来る前からあったスラブ人の春の祭りで、現在はキリスト教行事と組み合わさり、教会の暦で毎年の日付が決まる。だいたい二月半ばから三月の始めくらい。ブリヌイを食べたり、かかしを燃やしたりする。プログレッシブ ロシア語辞典にもあるとおり、カトリック圏の謝肉祭のようなものらしい。では謝肉祭の起源は?)にメッシとキーラはсметана(サワークリーム)とсгущёнка(コンデンスミルク。сгущёнкаは「口語」。略さずに言うと、сгущённое молоко)のかかったブリヌイをふるまわれたのだが、二匹とも興味はない様子。上にかかったサワークリームとコンデンスミルクはなめたいのだけど、ブリヌイは食べたくない。なぜかしら?

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