2020年02月29日

はんかち、はながみ

 子供の頃、ムーミンの物語を読んでいて、驚いたことがある。

 ムーミンパパが風邪をひいている。パパはベランダで新聞を読むのだが、パパがすわっている椅子の隣にはかごが置かれていて、そこにはハンカチがたくさん入っている。パパは時折、かごからハンカチをとりだしては、チーンと鼻をかむ。






 なるほど、ムーミン族はハンカチで鼻をかむのか、と驚いた。

 のちにロシア語を勉強するようになって、「ハンカチ = носовой платок」と覚えた。なるほど、ロシア人もムーミン方式なのだな。実際、ロシア人がハンカチでチーンとやっているのを見たことがある。

 日本人にはこれはちょっと抵抗がある。鼻水をふいたものは使い捨てにしたいのである。「鼻紙」という言葉もあるし、懐紙を持ち歩いていたりしたし、鼻水をふくには紙を使って使い捨てにしたい。

 私が幼稚園児の頃はティッシュペーパーなどというものは家にはなかった。幼稚園に行く時はハンカチと鼻紙を持っていくのだが、ちり紙(うちではトイレットペーパーというものではなく、ちり紙を使っていた)を5枚くらいたたんで、かばんに入れていたのを覚えている。

 今日、スーパーマーケットへ買い物に行ったら、トイレットペーパーがなかった。マスクもあいかわらずないし、ウェットティッシュもない。そこだけがらんどう。他の棚もふだんよりすきまが目立つような気がした。これには既視感があった。年末年始にロシアへ行った時に訪れた大型スーパーが、こんな感じだったのだ。あちらはまだ続く経済制裁で、品物が十分に入ってこないという事情があるのだが(とはいえ、日常生活に困るほどではない)。

 私が子供の頃にはウェットティッシュというものもなかった。家族でお出かけする時には、母がおにぎりを作って菓子箱に詰め(出来合いのおにぎりというものもなかったので)、小さいタオルを濡らして絞ったものをプラスチックの筒に入れて持っていった。

 というわけで、ティッシュペーパーがなければハンカチを複数枚、ウェットティッシュがなければタオルを濡らしたものを持ち歩けばいいのである。何も困ることはない。たぶん……。でも、トイレ用はやはり紙の使い捨てがいいなあ……。

 ティッシュペーパーはロシア語でなんというのかと思い、手元にあるものを見てみたら「САЛФЕТКИ БУМАЖНЫЕ」と書かれていた。日本で言うところの「紙ナプキン」。ロシア人にとっては、口元をふくのは紙でもよくて、鼻用には布を使うものなのかな?

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posted by ごー at 16:59| Comment(0) | ロシア語 | 更新情報をチェックする

2020年02月25日

言葉の感覚 「地べた」をめぐって思ったこと

 昨日テレビを見ていて、「えっ!」と驚くことがあった。ニュースや日常の出来事を紹介する、情報番組、ワイドショーとでもいうのか、その番組の中で、韓国のある宗教団体の人たちは狭い空間で「地べた」に座り、祈りをささげていた、というようなことを言ったのだ。「地べた」という言葉は読まれただけではなく、解説用の板(←これなんという名称なのだろう?)にも書かれていた。

 「地べた」。私の感覚では「地べた」は口語であって、ニュース番組内でアナウンサーがつかうような言葉ではないし、ましてニュース番組内で文字で書き表されるものでもない。そこは「地べた」ではなく「地面」でしょう。さらに言うと、そのお祈りの場は屋外ではなく、屋内のように見えたので、私に言わせれば「地べた」でも「地面」でもなく、「床」だ。

 私のそばでパソコンゲームをしながら、テレビの音声に耳を傾けていた母も「『地べた』だなんて、韓国の人たちに対して失礼だ」と怒っていた。

 この文脈で「地べた」という言葉をつかってしまうテレビ局の人々に対して、私はなんともいえない嫌な気持ちを抱いてしまったのだった。ふだん私がいろいろ話せる相手は母しかいないので、自分の感覚が普通なのか変わっているのかはわからない。

 辞書を見てみると、「地べた」は以下のように説明されている。

大辞泉 土地の表面。地面のくだけた言い方。
明鏡 (俗)地面。
類語例解辞典 「地べた」は、「地面」の俗な言い方。

 昔、『菊次郎の夏』という映画をレンタルビデオ店で借りて見た。なかなか面白かった。






 という話をある人にしたところ、その人は「私も見ましたけれど、言葉が汚すぎて最後まで見られませんでした」と言ったのだった。

 確かに上品な言葉遣いの映画ではないけれど、最後まで見ていられないほどではなかったけどなあ、と当時の私は思ったのだったが、ふだんあのような言葉遣いをまったく耳にしない生活をしている人が、子供相手に大人が乱暴な言葉をつかう映画を見たら、嫌悪感を抱いてしまうのは仕方ないのかもしれない。

 何年か前に、子供を保育園に入れられなかったから「日本死ね」と書いた人がいて話題になった。「日本死ね」などという人が日本人であるということすら、私には信じがたかったのに(斬新な表現ではあると思ったが……。もしかしたら、書いた人は日本人ではないのかも?)、このような人が子供を持つ母親であり、子供を保育園に入れて社会に出て活躍したいのだというから驚きである。チンピラの罵り合いみたいな文章を書く人が、成人で母親だなんて……。どこかのチンピラが誰かの依頼を受けてあの作文を書いたのだとしたら、まだ理解できる。

 言葉というのはふだん見聞きしているものでないと、とっさには出てこないのではないか(幅広い社会層を舞台とする物語を書く、小説家や脚本家などは別として)。ということは、「日本死ね」のような言葉遣いの中で日々暮らしている人が、日本のどこかには存在するのだ。「床」のことを「地べた」という人もいるし、日本は広いのだなあ、と私は感慨深く思うのだった。かくいう私も、時々くだけすぎた言葉を口にしてしまうことがあるので、気をつけなくては!

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ラベル:日本語 日記
posted by ごー at 22:29| Comment(0) | 日本語 | 更新情報をチェックする

2020年02月24日

YKK

服についている、YKKと書かれているもの(最近は違う字が書かれているものも少なくないけど)、あれはなんと言いますか? ファスナー? ジッパー? チャック?

私が最初に覚えた言葉は「チャック」だったと思う。保育園、幼稚園で「お口にチャック」と言われたのをよく覚えている。

YKKのページに、この三つの言葉についての説明があった。

Vol.1 「ファスナー」と「チャック」と「ジッパー」の違い
https://www.ykk.co.jp/japanese/ykk/mame/fas_01.html

この中の「チャック」という言葉について、私は、きっと発明者が「チャールズ」さんなのだろうと勝手に思っていたのだったが、実は全然違って、「巾着」という言葉をもじったものだとのことだ。「チャック」が日本語からできた言葉だとは知らなかった。

ロシア語では молния だから、「稲妻」だ。

ポルトガル語では zíper、fecho éclair、fecho ecler、fecho de correr など。éclair、eclerはお菓子のエクレアのことでもあるけど、éclair はフランス語で「稲妻」のことだそうである。

お菓子のエクレアはロシア語では эклер とつづる。

ファスナーの、あのぎざぎざした姿が稲妻に見えたのかな。

そして、あのぎざぎざのことは、日本語で「務歯(むし)」というのだと、初めて知った。

「チャックやファスナーの開閉部分にあるギザギザした箇所」の名前はなーんだ?
https://oggi.jp/6129425

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