ブラジルでは決して「さかな」と言ってはいけない、と何度も言われた。首都のブラジリアでは最悪でなぐられるくらい、地域によっては最悪の場合、殺されることもあると。
最近、ブラジル人の先生に、この「さかな」について聞いてみたところ、「日本人の発音する『さかな』は『sacana』とは違うから、気にする必要はない」と言われた。
この『sacana』の意味が私にはよくわからない。辞書を見ても、生死にかかわるほどのこととは思えない。たぶん一生わからない。
ロシアでは「えび」と言ってはいけないと言われたことがある。という話をロシア人にしたら、日本人の発音する「えび」は卑猥語には聞こえないから、問題ないと言われた。
いずれにしろ、危ないことは言わないに越したことはない。
ロシア語の икр
а が日本語の「イクラ」の語源だというのは、まあまあ知られた話。кр
асная икр
а (赤いイクラ)が日本での「イクラ」で、чёрная икр
а (黒いイクラ)はチョウザメの卵、日本で言うキャビアのこと。икр
а с
ельди はニシンの卵だから、数の子。小説などに「икр
а」と出てくると、魚の卵であることはわかるけど、具体的には何なのかは説明がないとわからない。ブルガーコフの『Соб
ачье с
ердце』(犬の心臓)で、プレオブラジェンスキー教授の食卓に「イクラ」が出てきて、私は「赤いイクラか黒いイクラか、どっちなんだろうなあ」と考え込んだことがある。
ロシアでは赤いイクラは、昔は日本より安かったような気がするのだが、最近はそうでもないような。人工イクラも売られるようになった。日本の人工イクラは本物と見分けがつかないくらいのものだそうだが、私が見たロシアの人工イクラは、固めのゼリー、あるいはやわらかめのグミと言った感じで、明らかに別物だとわかる。消費者をだましているわけではなくて、ちゃんと「имит
ированная」と書かれていたりする。

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ивас
и はイワシ、その中でもマイワシのこと。これは日本語から。イワシは普通は сард
ина と呼ばれるかな? сард
ина の一種が ивас
и、といった感じか。минт
ай はソケソウダラ。漢字で書けば「明太」。これは朝鮮語が元になっている。


昔、Turma do Gambá という音楽サークルの演奏会に連れていってもらったことがある。サークルのシンボルは gambá(ガンバー) という動物。gambá は臭いにおいを出す動物だと教えてもらったから、イタチかな、と思った。

あとで辞書を見たら、「フクロネズミ、オポッサム」と書いてあった。私の頭の中では、gambá と『ガンバの冒険』のガンバが勝手に結びついた。
リンク
ポルトガルで中華料理店に行ったら、メニューの中に「gamba」があった。ポルトガル人はあの動物を食べるのかと驚いたが、同行の人が gamba は「えびの一種」だと教えてくれた。よく見ればアクセント記号がついていないので、gambá(ガンバー) と gamba (ガンバ)は別の言葉なのだった。ブラジルでは gamba という言葉は使わなかったと思う。
"Camarão e gamba têm as suas diferenças"
http://ensina.rtp.pt/artigo/camarao-e-gamba-tem-as-suas-diferencas/ ↑の情報によると、camarão は小さめで、gamba は大きめ。camarão はギリシア語の「カマロース」という言葉から来ている。「カマロース」という言葉はエビだけではなく、caranguejo (カニ)や lagosta (伊勢海老?)のことも指す。gamba はイタリア語の「脚」を意味する言葉から来ているとのこと。
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https://kotobanobenkyo.seesaa.net/article/471312756.html魚介類