2019年08月29日

バレエ・ローズ事件(勉強とはあまり関係ない話)

 ジェフリー・エプスタインというアメリカのお金持ちが、少女たちに対する性的虐待で逮捕され、今月10日、ニューヨークの拘置所で自殺したという事件があった。この人はアメリカのお金持ちたちと交流があっただけではなく、イギリスのアンドリュー王子ともつきあいがあったとのことである。

 この話を聞いてまっさきに思い出したのが、ポルトガルの「バレエ・ローズ事件」。これについて、私は誰かから聞いたのではなく、本で読んだのだった。

市之瀬敦著『ポルトガル 震災と独裁、そして近代へ』





 この本はポルトガルの近現代史を知るにはとてもよいと思う。先生の講義を聞いているような気分になってくる、楽しい本。フリーメーソンとかファティマの聖母とか、昔、学研の「ムー」で読んだような話も出てくる。

 さて、「バレエ・ローズ」は1967年に発覚したもので、政財界の要人や貴族の称号を持つ者たちが、娼婦や娼婦の娘たち(10歳未満の子もいたらしい)を相手にいろいろとおぞましいことをしていたという事件。何をしていたかは、この本に少しだけ書かれている。336ページに「イタリアのメディアは「大臣の庭園のロリータ狩り」と呼んだ。」との記述がある。いい大人が女の子相手に一体何をやっているのだ。開いた口がふさがらない。

 この本を読んだあと、Wikipediaでこの事件について書かれているのを読んで、うわあ、気持ち悪い!と思った記憶があるのだが、今Wikipediaを見てみると、この件についてのページはなく、この事件を元にして作られたテレビドラマのページしかない。確かに見たような気がするのだが、私の勘違いだったのだろうか。しかし、テレビドラマの題材になるような大事件なのに、独立したページがないというのは不思議だ。

ポルトガル国営放送が1997年に制作、1998年に放映したテレビドラマについてのページ
Ballet Rose
https://pt.wikipedia.org/wiki/Ballet_Rose

 同じ名前で、フランスでも1959年にほぼ同じような事件があったらしい。
Ballets roses
https://en.wikipedia.org/wiki/Ballets_roses

 すぐ近くの他国で既に問題になっていたのに、なぜ似たようなことをしようと思うのだろう。「他山の石」という考えはないのだろうか。ポルトガル人の先生が、「inquisição(異端審問)はポルトガルの歴史において最も悲しく恥ずべきことです」と言っていたのを覚えているが(土曜日に洗いたてのシャツを着ていたというだけで、ユダヤ人だと決めつけられ、連行された人もいるという話を、なぜかよく覚えている。他にもいろいろな話を聞いたのだが、当時のノートをなくしてしまったのは残念だ)、このBallet Roseもかなり恥ずかしい事件だと思う。

 ポルトガルではこれだけではなく、カーザ・ピア事件というのもある。上にあげた本には「2002年秋に暴露された」とある。この事件についてはWikipediaにページがある。

Processo Casa Pia
https://pt.wikipedia.org/wiki/Processo_Casa_Pia

英語版
Casa Pia child sexual abuse scandal
https://en.wikipedia.org/wiki/Casa_Pia_child_sexual_abuse_scandal

 カーザ・ピア事件では少女だけではなく少年も、そして障害児たちもひどい目にあわされていたらしい。

 カーザ・ピアは、1755年の大震災から25年後の1780年に、身寄りのない子供や困難を抱えた子供たちの教育のために設立された組織。そういうところで1970年代から、ポルトガルの著名人たちが子供に性的虐待をしていたというのだから、まったく言葉も出ない。そして「バレエ・ローズ事件」発覚のあとに始まっているらしいというのが、さらに理解できない。ばれなければいいと思っていたのだろうか。

 こういう事件って、実はどこにでもあることなのかな……。日本でもあったような……。悲しいことです。私はこういうことはどこか別次元の、あるいは架空の世界の話だと思いたいです。

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posted by ごー at 19:35| Comment(0) | ポルトガル語 | 更新情報をチェックする

2019年08月28日

教室選びで悩む

 2015年から通っていたロシア語講座が来月で終了してしまうので、この先どうしようかと悩んでいる。

 2010年、ロシア語を基礎からやり直したいと思い、当時住んでいたポルトガルのロシア語教室に通った。生徒は私の他には三人。ロシアに興味があるという人、ロシア語に限らずとにかくいろんな言語に興味がある人、奥様がポーランド人なのでポーランド語の勉強をしたいのだけれど、ポーランド語教室はないのでポーランド語に近いと思われるロシア語を勉強することにしたという人。みんな今も勉強を続けているのかなあ。

 内容は初級から中級という感じで、私にとっては既知のことも多かったのだが、間違えて覚えていたこと、そもそも理解していなかったこと、いろいろな発見があってとても勉強になった。

 2011年に実家に帰ってきて、いろいろあって、2013年頃には一段落したので、またロシア語の教室に通いたい、日本にいるのだから日本人の先生のところで日本語を介してロシア語の勉強をしてみたいと思ったのだが、どこにそういう教室があるのかわからず、その一方で、またポルトガルに戻れるかもしれないという期待もあったので、近所の駅前留学で英語とポルトガル語の勉強をすることにした。

 ポルトガルに戻ることもかなわず、ずるずると日本にいて駅前留学以外は特に何をするでもなく過ごした。何か外に出る用事を作って人々と会うということをしないといけないと思い、近所の読書会に行くようになった。そこに来客として来た人が、カルチャーセンターで教えていると言っていたので、なるほどそういうものがあるのか、ロシア語の講座もあるのかな、と検索して見つけたのが、今通っている講座。

 最初は、私のロシア語力ではついていけないかもしれないという不安を感じた。でももう、そんなことを言っていられる年齢でもない。ここでがんばろうと決めた。先生は「私もロシア語については知らないことだらけです。みんなで一緒に楽しくロシア語の勉強をしましょう」とおっしゃった。この言葉に、私は大きな感銘を受けた。

 本当に楽しかった。講座の内容は「ロシアの雑誌を読む」というもの。政治経済、科学、文学、歴史、いろんな人が書いたいろんな記事を読んだ。先生の模範訳を読み、なるほどこういうふうに訳すと複数形であることを表せるのだなあ、前置詞の意味も過不足なく表現できるのだなあ、と知った。それまでにもロシア語の本を読んだりはしていたのだが、読んだつもりになっていただけで、ちっともわかっていなかったのだということがはっきり理解できた。とにかくいろいろなことを学んだ。ロシア関連のことを話せる日本の人たちに会えたのもうれしかった。学生時代の同級生たちと今もつきあいがあれば、私にもそういう知り合いがいたはずだったのに、私は人づきあいというのがまったくだめで……。実は嫌われていたのかもね。思えば孤独な一生だった。

 一人で勉強を続けるのもいいのだが、勘違いしたままわかったつもりになってしまうのがこわい。教室に行くと、その勘違いが正される。

 言語を介した人間の意思疎通なんて、そもそも勘違いだらけなのかもしれないけれど。さて、教室選び、どうしましょうか……。ミール・ロシア語研究所(過去の記事:黒田 龍之助『ロシア語だけの青春』)があれば、迷わず行ってみるのだけどなあ……。

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ラベル:日記 勉強
posted by ごー at 17:01| Comment(0) | ロシア語 | 更新情報をチェックする

2019年08月19日

きれいな字が書けたら楽しい その2

 前回の記事「きれいな字が書けたら楽しい」の続きのようなもの。

 中学校で英語の筆記体、大学でロシア語の筆記体を習ったが、私はずっと「字は読めればいい」というタイプの人間だったので、いつもブロック体で書いていた。

 いつだったかの引っ越しの時、持ち物の中から、夫と私がアメリカにいた時に借りていた部屋の大家さんが書いた、メモが出てきた。大家さんは60代半ばで亡くなってしまったが、とても気さくでいい人だった。

 大家さんが書いたその文字は、中学校で筆記体の練習をした時の練習ノートに印刷してあったような、とてもとても美しい文字だった。アメリカ人が書く文字をそれまでにも見たことはあったが、たいていブロック体だし、あまりきれいではないなあと思っていた。しかし、こんなに美しい文字を書く人もいるのだ! そして、筆記体は美しい、私も英語は筆記体で書こう!と思い、今に至る。

 ある時、ロシアでおなかが痛くなったことがあり、食べ物が変わればこういうこともあるよね、と私は気楽に考えていたのだが、周りの人たちが医者に行った方がいい、と言うので、病院を紹介してもらって行った。「オリンパス」の胃カメラを飲まされ(「日本製の『オリンパス』のカメラだから、安全よ〜」と言われた)、その結果、胃潰瘍になりかけていることがわかった。お医者さんがそばにいる女性(薬剤師? 秘書?)に何か言うと、その女の人が用紙に何かを書きつけていく。それは薬の処方箋だったのだが、ただギザギザのようなものが書かれていて、何だかさっぱりわからない。きれいだけれど、文字だとは思えない。半信半疑でそれを薬局に持っていくと、薬が出てきた。薬局の人には読める文字らしい。不思議だ。この時、ロシア語も筆記体で書けたらかっこいい!と思い、今に至る。

 ポルトガル語学校に行っていた時のポルトガル人の先生の中に、とても美しい文字を書く先生がいた。ポルトガル語も筆記体で書くと美しいのだなあ(先生が黒板に書いた文字を、写真に撮らせてもらえばよかったと今になって後悔している)。この時、ポルトガル語も筆記体で書けたらかっこいい!と思い、今に至る。

 しかし、普段の生活では、外国語の筆記体を目にすることはあまりない。日本語だって、手書きの文字はあまり見ない。見ないことには覚えない。何かお手本になるような本を買おうかな。


ABC of ENGLISHペンマンシップ―はじめての筆記体練習ノート



ロシア語習字ノート


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