この話を聞いてまっさきに思い出したのが、ポルトガルの「バレエ・ローズ事件」。これについて、私は誰かから聞いたのではなく、本で読んだのだった。
市之瀬敦著『ポルトガル 震災と独裁、そして近代へ』
リンク
この本はポルトガルの近現代史を知るにはとてもよいと思う。先生の講義を聞いているような気分になってくる、楽しい本。フリーメーソンとかファティマの聖母とか、昔、学研の「ムー」で読んだような話も出てくる。
さて、「バレエ・ローズ」は1967年に発覚したもので、政財界の要人や貴族の称号を持つ者たちが、娼婦や娼婦の娘たち(10歳未満の子もいたらしい)を相手にいろいろとおぞましいことをしていたという事件。何をしていたかは、この本に少しだけ書かれている。336ページに「イタリアのメディアは「大臣の庭園のロリータ狩り」と呼んだ。」との記述がある。いい大人が女の子相手に一体何をやっているのだ。開いた口がふさがらない。
この本を読んだあと、Wikipediaでこの事件について書かれているのを読んで、うわあ、気持ち悪い!と思った記憶があるのだが、今Wikipediaを見てみると、この件についてのページはなく、この事件を元にして作られたテレビドラマのページしかない。確かに見たような気がするのだが、私の勘違いだったのだろうか。しかし、テレビドラマの題材になるような大事件なのに、独立したページがないというのは不思議だ。
ポルトガル国営放送が1997年に制作、1998年に放映したテレビドラマについてのページ
Ballet Rose
https://pt.wikipedia.org/wiki/Ballet_Rose
同じ名前で、フランスでも1959年にほぼ同じような事件があったらしい。
Ballets roses
https://en.wikipedia.org/wiki/Ballets_roses
すぐ近くの他国で既に問題になっていたのに、なぜ似たようなことをしようと思うのだろう。「他山の石」という考えはないのだろうか。ポルトガル人の先生が、「inquisição(異端審問)はポルトガルの歴史において最も悲しく恥ずべきことです」と言っていたのを覚えているが(土曜日に洗いたてのシャツを着ていたというだけで、ユダヤ人だと決めつけられ、連行された人もいるという話を、なぜかよく覚えている。他にもいろいろな話を聞いたのだが、当時のノートをなくしてしまったのは残念だ)、このBallet Roseもかなり恥ずかしい事件だと思う。
ポルトガルではこれだけではなく、カーザ・ピア事件というのもある。上にあげた本には「2002年秋に暴露された」とある。この事件についてはWikipediaにページがある。
Processo Casa Pia
https://pt.wikipedia.org/wiki/Processo_Casa_Pia
英語版
Casa Pia child sexual abuse scandal
https://en.wikipedia.org/wiki/Casa_Pia_child_sexual_abuse_scandal
カーザ・ピア事件では少女だけではなく少年も、そして障害児たちもひどい目にあわされていたらしい。
カーザ・ピアは、1755年の大震災から25年後の1780年に、身寄りのない子供や困難を抱えた子供たちの教育のために設立された組織。そういうところで1970年代から、ポルトガルの著名人たちが子供に性的虐待をしていたというのだから、まったく言葉も出ない。そして「バレエ・ローズ事件」発覚のあとに始まっているらしいというのが、さらに理解できない。ばれなければいいと思っていたのだろうか。
こういう事件って、実はどこにでもあることなのかな……。日本でもあったような……。悲しいことです。私はこういうことはどこか別次元の、あるいは架空の世界の話だと思いたいです。

にほんブログ村