
ある日、本の整理をしていたらこれが出てきた。せっかくだから読んでみようか。
もうすぐ14歳になる少年が、風邪かなにかで学校を休み家で寝ていたら、窓の向こうから茶トラの子猫みたいな生き物が飛んできた。猫みたいなものは家の中まで入ってきて、しかもロシア語を話す。この猫みたいな生き物には癒しの力もあり、少年の病気はあっというまに治ってしまう(わかる! 猫に添い寝してもらって、猫ののどがぐるぐるいう音を聞いていたら、風邪くらいならすぐに治りそう!)。猫のような生き物は「まことの光」を探している。少年と猫のようなものは一緒に「まことの光」を探しに出かけるのだった……というお話。
この本の中で「太陽の子猫」と呼ばれる、茶トラ猫風の生き物がとてもかわいい。ちょっと生意気なところもあるけど、それもいい。決まりの悪い場面に出くわすと、急に顔を洗い出したりするのもかわいい。話の内容は、私の貧弱な表現で例えると「ドラクエ風」かな? 仲間とともに旅をして謎をといていく。自分の心の中の闇と戦うような場面もあったかな。主人公と一緒に旅をするレンという男の子は、ちょっと弱そうなところがあるけど、一所懸命で好感が持てる。
かなり楽しんでいたのだが、三分の二くらい読んだところで、ひどい場面があった。今すぐ本を投げ捨てたくなるような……。気にならない人にはどうということのない内容かもしれないが、私には無理。主人公と同じ年頃の子たちには絶対読ませたくないし、大人が読んでも不愉快になるだけだと思われるのに、なぜこんな場面を入れたのか謎である。今まで楽しかったのに! 続きが気にならないわけでもないが、こんな記述のあとでは読む気になれない。
この悔しさと怒りを誰かと分かち合いたいのだが、その相手がいない。ロシア人が感想を語り合っている掲示板に書き込みをするほどのロシア語作文能力は、私にはない。
セルゲイ・ルキヤネンコの本は、日本では二冊翻訳があるみたい。

デイ・ウォッチ

ナイトウォッチ
kindle本にはこんなのがあった。

Я мышь (Russian Edition)
ルキヤネンコ氏は、ねずみ好きで、ねずみの置物をたくさん持っているとのこと。この本は、ねずみの素晴らしさを伝えるために書かれたものらしい。そしてルキヤネンコ氏の自宅には、犬と魚がいるらしい。なんだ、猫は飼っていないのか……。『少年と闇』を読んでいた最中は、絶対この人猫好きだ!と思ったのだけどなあ。