2020年02月14日

СКК

 私は時々、建物に強い愛着を感じるということがある。それは公共の建物だったり、知らない人の家だったりするが、そこを通った時にいつもと変わらない美しい姿を見せてくれていると、とても安心する。

 2011年以降、私の好きな建物がどんどんなくなっていった。耐震性に問題があったり、区画整理のためだったり、再開発が行われたり。昔から見慣れた建物がなくなるたびに、私は自分の一部がもぎとられてしまったような気持ちになる。新しい建物が建つならまだましだが、うちの近所ではたいてい駐車場になる。新しい建物が建ったとしても、美しさでは以前あったものより劣る(ように私には思える)。こんな駐車場だらけの場所からは一日も早くいなくなりたい。

 今年の1月31日、そういう建物のうちの一つがまた失われた。サンクトペテルブルグにある СКК。

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 初めて見た時、なんて美しい建物だろうかと思った。とにかく大きくて、近未来風。ソ連風とも言えるかも。私は建築については知識がないので、うまく説明できない

 開館は1980年の5月19日だとwikipediaには書かれている。モスクワオリンピックの年である。

Петербургский (спортивно-концертный комплекс)

 2023年のホッケーの世界大会に向けて、これを壊して新しい建物を作るという計画があり、記念物として残してほしいという近隣住民の要望もあったし、新しい建物を作るとしても一部は市の負担(つまり税金)ということで反対している市民も少なくなかったのだが、8月に閉鎖され、少しずつ解体作業が始まっていたみたい。

 そして1月31日、屋根の解体作業中に建物の大部分が崩壊、屋根を吊っている鉄骨を切る作業をしていた29歳の溶接工が、屋根と一緒に落ちて亡くなった。ゴンドラに乗ったまま作業していれば死なずに済んだのに、解体業者の安全基準はどうなっていたのかという議論もある。

 確かに古い建物ではあった。私が最後に中に入ったのは2019年の1月。インド物産展を見に行ったのだった。その時は、いろんな設備が古そうだなあという印象を持ったが、ちょっとの刺激で崩壊するほど弱っていたのか、解体の手順がよくなかったのか……。

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 たとえば、法隆寺や冬の宮殿を解体して新しいものを建てよう、と言う人はいないだろう。改修はしても、なくさない。でも、最近の建物はあっさり壊される。「建物」であることには違いがないのに、何が異なるというのだろう。

 日本では、原宿駅の駅舎も解体されるのだという。あの外観が素敵なのに……。既にあるものを生かして、なんとかできないものなのだろうか。

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posted by ごー at 17:40| Comment(0) | ロシア語 | 更新情報をチェックする
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